2013年11月10日日曜日

坐禅独習のための指南書その一 門脇佳吉の著作

創元社 「瞑想のすすめ -東洋と西洋の総合」 門脇佳吉 著


曹洞宗や臨済宗、それに人間禅等のサイトには坐禅の方法が紹介されており、動画での説明はやさしくてわかりやすいものです。しかしながら坐禅を独習するための良書を探している方もいるでしょう。

これは、自分がこれまでに出会った書籍の中では最も詳しくていねいに坐禅のやり方や心構えについて書かれている本です。

第一版発行が1989年で、1997年第一版第6刷発行版を中古で購入しました。

その後発行されていないかもしれません。amazonの中古では数百円台で出品されているのが(2013年11月10日現在)数点見つかります。

・ 調身(ちょうしん)
・ 調息(ちょうそく)
・ 調心(ちょうしん)


の三要素について詳しく解説してあります。

瞑想と科学という項目もあります。この本が書かれた当時のものと思われる科学的知見が引用されています。こういう話に興味のある方もいるでしょう。

この著者はキリスト教の洗礼を受けて神父になった人です。説明がていねいであるのも、仏教にあまり縁のない人々に理解してもらうための努力を続けた経験から来たものでしょう。

この著者の真骨頂は同書後半の「禅の瞑想からキリスト教的瞑想へ」にあるのでしょう。しかしながら、純粋に坐禅の指南書としてみた場合にも、類書にはないレベルの心配りの行き届いた解説があると思います。

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仏教の修行法には、坐禅や瞑想があります。では他の宗教、例えばキリスト教の修行とはどのようなものなのだろうか?坐禅や瞑想を皮相的にも体験した今、修行法の側面から他の宗教を理解できるのではないか?と考えていたところ、この著者の作品(下の写真)に出会いました。

キリスト教の黙想も体験したいと機会を探したことが少しだけありますが、キリスト教の洗礼を受けていない者が体験する機会は見つかりませんでした。

 

仏教とキリスト教について学問的に比較、研究した書籍は他にも数多くあるでしょう。しかし、あたまで考えただけの学問ではなく、坐禅とキリスト教黙想(著者は霊操と呼んでいる)の双方について深い経験を持ち、高い境地に達した人の書いたものであるところにこの著者の作品の意義があるのだと感じました。

以下の臨済宗のサイトを見ると、禅寺とキリスト教修道院の間には定期的な交流イベントがあるようです。こうしたイベントに参加した禅僧や修道士のレポートも読んでみたいものです。

http://www.zenbunka.or.jp/pub_etc/activitie/entry/reisei13.html

できることであれば将来、自分も坐禅や瞑想について一定の修行を積んだ後、キリスト教修道院の修行生活を体験してみたいものです。

最後にタイトル書の「瞑想のすすめ」についてひとつ。同書264ページには、「それでも集中できないという人には「テラバーダーの方法」を取り入れてやってみました。」という記述があります。ここでいう「テラバーダーの方法」とは現在一般的に言う「テーラワーダ(Theravada)仏教」のことを指すと思われます。ここでは、「集中が苦手なヨーロッパの人」の集中を助ける方策としてのみテーラワーダに言及しています。

私は著者がテーラワーダ仏教についてどのような意見を抱いていた(wikipedia情報によれば、現在も研究活動をなさっているらしい)のかについて興味をそそられます。それは、同書184ページの「禅がキリスト教から学ぶべきもの」の項で書かれている「禅的瞑想はどうしても、キリスト教から学ばなければならないと思う」ものや、同215ページの「普通の坐禅では根絶できない」ことについて、テーラワーダ仏教には明確な回答が示されていると思うからです。