2015年7月2日木曜日

マハーカルナー禅師の原始仏教トーク - 013 - 廻向(えこう)~ 福徳を布施する四つの方法 ~ (YouTube の音声から書き起こしたもの)


廻向によって、坐禅や瞑想を最大限生かすことができると知りました。

正しいやり方で廻向を行うことが、慈悲の心を育てる修行になることがわかりました。


ここには、それ以外にもいくつもの大切なことが説かれています。


以下はYouTubeの音声から書き起こしたものです。誤字脱字があるかもしれません。今後見つけたら訂正したいと思います。


※ 「マハーカルナー禅師の原始仏教トーク」をキーワードにすればYouTubeのサイトはすぐに見つかります。


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廻向とは何でしょうか?

廻向することによって、どんな良いことが起こるのでしょうか?

廻向とは、まず自ら良い行いをなし、その良い行いの功徳や果報を他の方々へ布施してあげることです。

廻向という行為は、廻向を受ける方だけではなく、送り手である私達自身にも大変な幸福をもたらしてくれます。

たとえば、ダーナ。

すなわち、執着を離れ、人と分かち合う心でおこなう布施や、スィーラ、すなわち言葉や行動による得行(とくぎょう)の実践。

あるいは、バーバナー。

すなわち、ダンマの学習や瞑想修行を行い、それによって形成される善なる業(ごう)の果報クーサラウィパーカを、他の方々にお布施して差し上げるのです。

既になした善行(ぜんぎょう)の善き福徳を、他の人に分け与える、布施する、という意味で、廻向はパーリ語では、パリナーマナあるいはパッティダーナあるいはパッターヌッパダーナなどと呼ばれています。

さて、廻向をおこなう上での大切なポイントが4つあります。

(1) 善行をおこなう前に、「自分はこれから善行をおこなう。」とはっきり自覚してください。

(2) 善行をおこなっている間、明確で力強い意志をもって、善行を行ってください。

(3) 善行が完了した時点で、「たった今なした善行によって生ずるであろう善なる果報は、自分ではなく、廻向して差し上げる方々において実を結ぶことを。」とはっきりと願い、請願してください。

(4) そして最後に、その善行によって生ずるであろう善なる果報への期待や執着から、きっぱりと離れてしまうのです。

廻向をする場合、誰に廻向するか、誰にその福徳を差し上げるか、ということをまず最初に決めます。

廻向して差し上げる相手には四種あります。

(1) 仏法僧

仏教の教えと、それを護持し、広めていくサンガが、世の中で善き支援や適切な環境を得て、末永く存在し、多くの人々を迷いの輪廻の生存から救うことができますように、との願いを込めて、自らなした善行の福徳を仏法僧に廻向させて頂きます。

(2) 一切の生きとしいけるもの

苦しみに翻弄されている一切の生きとし生ける有情が、一日も早く仏道に縁を得て、苦しみから抜け出すことができますように、との願いを込めて、自らなした善行の福徳を一切有情に廻向します。

(3) 今現在困窮している縁のある方

家族、友人、知り合いなどの中で、病気で苦しんでいる、あるいは、経済的に苦しんでいる、人間関係で苦しんでいる、という方がおられるかもしれません。そのような、特に大きなの福徳の助けを必要とされている方に対して、自らなした善行の福徳を廻向させて頂きます。

この場合本当は、あなたが廻向していることを、その方も知っていることが望ましいのですが、諸々(もろもろ)の事情により、それが不可能な場合は、知らなくとも構いません。

(4) 既に亡くなられた家族

既に亡くなられた家族に対して、自らなした善行の福徳を廻向します。

これはお釈迦様直伝の先祖供養の方法であり、いわば先祖供養の極意です。これについては、次の回に詳しく解説していきたいと思います。

以上、廻向の先には、仏法僧、一切の生きとし生けるもの、今現在困窮している縁のある方、既に亡くなられた家族、の四種があるということ、そして、これらの方々に、自ら積んだ善行の功徳を布施して差し上げる行為、それが廻向であるということ、ご理解頂きたいと思います。

それでは、廻向を行うと、どんな功徳が得られるのでしょうか?

善行をなすだけではなく、その善行の功徳を四種の方々に廻向することによって、四つの功徳が得られる、とされています。どんな功徳でしょうか?

(1) あなたが実際に善行をなし、その福徳を他者に廻向すれば、あなたの善行の果報が、その方において実を結びます。

(2) 廻向をすることは、それがそのまま、自分がなした善行の福徳に対するネッカンマすなわち執着を離れる離貪(りとん)という実践になります。

自ら善行をなしながら、その善行のもたらす善なる果報への執着を離れる、というのは素晴らしい智慧の実践です。離貪の心をはっきり意識して廻向を実践すれば、その廻向という行為自体が、素晴らしい善行となり、その善なる果報は、何倍にもなってあなた自身に返ってきます。

(3) 廻向をすることは、それがそのまま他者に対するメッターとカルナー、すなわち無条件の慈悲の実践となります。無条件の慈悲の実践はそれ自体が善行であり、その善なる果報もまた、何倍にもなって、あなた自身に返ってくるのです。

(4) 離貪すなわちネッカンマと、無条件の慈悲すなわち、メッターとカルナー、これら三つがそろえば、それがそのまま八正道の二番目である正思惟(しょうしゆい)サンマーサンカッパの実践となっていきます。

正思惟の心で廻向の実践を続けていけば、少しずつ、正見(しょうけん)、サンマーディッティの智慧が身についていきます。

正見の智慧とは、四聖諦(ししょうたい)、すなわち苦集滅道(くじゅうめつどう)という、お釈迦様の悟りの根幹を見通す智慧を意味します。

心をこのように使いながら正見の智慧をもって、正思惟の実践として廻向を行っていけば、次第に自我への執着が弱まっていき、自我という感覚自体も薄れていき、無我に対する理解や直感が、少しずつ、得られていくでしょう。

そしてそれは将来の、涅槃を証悟(しょうご)するという大きなゴールのための強固な基盤となっていきます。

さてそれでは最後に、廻向の功徳を限りなく強力にしていくための、とっておきの方法をお話しましょう。

廻向には二つのやり方があります。

第一の方法は、まず善行をおこない、それをなし終わってから、その善なる功徳、善なる果報を、意図する方々へ、布施させて頂く旨、こころに決意するという方法です。

通常、廻向はほとんどこの方法で行われています。布施、戒律護持、ダンマの学習、瞑想修行、などを行った後、廻向文を唱えて、廻向をなした、とするのです。

もうひとつの方法は、善行を行う前から、これから行う善行によって生ずる福徳や果報を、意図する方々へ布施する旨、堅く心に決意し、善行を行っている最中も確固たる決意を持ち続け、善行が終わってから、さらにもう一度、福徳や果報を、その方へ布施する旨を心に念じ、廻向する決意を新たにする、という方法です。

一般的には最初の廻向の方法を用いますが、実はそれでは、少し力が弱いかもしれません。本当に安定した、力のある廻向を行おうと思うのなら、二番目の方法を用いたほうが良いでしょう。

なぜ二つ目の方法は、それほど強力なのでしょうか?

離貪、すなわちネッカンマと、無条件の慈悲、すなわちメッターとカルナーの思いが、善行をなす前、善行をなしている最中(さなか)、そして善行をなした後まで、ずっと続いていくからです。

このような心でなした善行は、凄まじい福徳と、非常に強力な果報を生みます。

廻向を行うあなたも、あなたの廻向を受ける方々も、まったく次元の違う、大きな福徳や果報を得ることができるでしょう。


---以上---
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