2015年10月21日水曜日

マハーカルナー禅師の原始仏教トーク-No.004-四摂法Ⅰ布施~相手に対して布施をおこなう(podcastの音声から文字起こししたもの)

これはpodcastの音声を聴いて文字にしたものです。誤字脱字があるかもしれません。見つけ次第訂正したいと思います。

すでに同じ音声の文字起こしをなさっている他の方がいらっしゃるかもしれませんが、無常の世の中、自然災害、事故、等なんらかの理由で、音声や文字で伝える幾つかのサイトが一度に失われてもおかしくありません。


そのような状況下でも、残っているサイトがあれば、貴重な教えを残すことができると考えて、自分も文字にしたものを掲載します。


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社会の中で生きていく私たちが、仕事、家庭、その他、様々な分野で成功するためには、どうしたら良いのでしょうか?

お釈迦様が私たちに教えてくださっている方法は、とてもシンプルですが、強力です。

今回から七回に渡って、その方法について、お話ししていきましょう。

お釈迦様は、
社会で成功するための最大の秘訣は、人々から愛され、尊敬されることだ。
とおっしゃっておられます。

では、そのためには、どうしたら良いでしょうか?

ディーガニカーヤの第三十経、ラッカーナスッタ、日本では三十二相経としても知られているこのお経の中で、お釈迦様は、四摂法(ししょうほう)あるいは四摂事(ししょうじ)と呼ばれる教えをお説きになっておられます。

これはパーリ語ではチャトゥ・サンガハ・ワトゥ、人を包み込む四つの態度、あるいは、慈しみをもって人に接するための四つのベース、という意味を持っています。

社会で生きていく上で最も大切な心得であると言われているものです。

では、その四摂法、人を慈しみで包み込む四つの態度、とはどんなものでしょうか?
一、相手に対して布施を行いなさい。
二、相手に対して優しい言葉をかけなさい。
三、相手に対して、善なる心をもって、善なる行為を行いなさい。
四、心にある、自分と相手との境界線を取り払いなさい。
以上です。

これが、お釈迦様が教えてくださっている、必ず社会で成功する方法です。

今日は、その第一である、相手に対して布施を行いなさい、ということについてお話していきましょう。

相手に対して布施を行うとは、どういうことでしょうか?

布施とは、お金や物をあげることだけではありません。

我々が持っているどんなものでも、時間や、労働や、思いやりや、知識や、特権などを人々と分かち合うこと、人に差し上げること。

それが布施です。

パーリ語では、布施は、ダーナと言われます。

旦那、旦那様という言葉は、ここから来ています。

ダーナをする人という意味です。

また、家などの建築をする際、あるいはお葬式や法事などをする際に、その依頼主を施主と呼びますが、これも、布施をする人、という意味で使われている言葉です。

つまり、旦那と施主はもともと同じ意味で、どちらも、布施をする人、という意味だったというわけですね。

さて、話を戻しましょう。

布施を行うときに一番大切なことは、相手から何も見返りを求めない、ということです。

見返りを期待せずに、進んで人に何かを差し上げる、進んで人のために何かをする、進んで人を助けてあげる。

その故に、布施を行えば、する人の心も、される人の心も、清められるのです。

ここで、何も見返りを求めない、ということについて、正しく理解することが大切です。

布施をするときは、相手から何も見返りを求めてはなりませんが、しかしそれは、全く見返りを求めてはいけないという意味ではありません。

布施という善行を行うことによって、すばらしい善なるカンマ、善業(ぜんごう)が生じます。

将来、自分が幸せになるように、家族が幸せになるように、あるいは、仏教の修行が成就するように、と善きカンマの結果が自分に訪れることを期待することは、とても良いことですし、必要なことでもあります。

お釈迦様は、
布施をするときは、善なるカンマの結果を期待する、強い思いをもってやりなさい。
と教えられています。

何かのトラブルで、大切な取引先との関係が、おかしくなってしまった。

そういうことはありませんか?

あるいは、仲の良い友達や、大切な人と、些細なことで喧嘩をしてしまったことはありませんか?

そんなとき、トラブルをどう解決するか、思案に暮れることもあると思います。

一番良い解決法は、布施をすることです。

プレゼント作戦です。

お釈迦様はおっしゃっておられます。
布施は、自分や人の心が、コントロール不能な状態に陥ったとき、そのコントロール不能な心を、正常な状態に戻してくれる。
布施の行為は、どんな場合であろうと、必ず大きな効果を上げるものである。
優しい言葉をかけ、頭を下げて、布施をしてごらんなさい。
そうすれば、どんなに関係がこじれていようと、布施を受ける相手もまた、頭を下げ、非礼を詫び、反省するのである。
このようにして、布施によって、こじれた人間関係を正常化していくことができるのです。

どうですか、プレゼント作戦。

皆さんも、是非やってみてはいかがでしょう?

人と人、会社と会社など、様々な社会的関係を、円滑に進めていくコツは、自分の方を、ちょっとだけ少なく、相手の方をちょっとだけ多くしてあげる。

自分の方をちょっとだけ不利に、相手の方をちょっとだけ有利にしてあげる。

というものです。

重箱の隅をつつくようなやり方で、公平さを追求すれば、必ず諍い(いさかい)が生じます。

ほんのちょっとの不平等を、わざと受け入れることで、すべてが円滑に回り始め、結局は、自分も、相手も、そこから大きな利益を得ることができるのです。

そのときは、
自分が相手に布施をしているんだ。
という風に理解しましょう。

人から、不公平な扱いを受けたときも同じです。

相手に対して、怒りを持つ必要はありません。

あなたが、その人に布施をしている、福徳を積んでいる、と思えば良いのです。

自分から選んだ不公平さであれ、相手から強要された不公平さであれ、あなたが怒りを持たずに、それを、慈しみをもって受け入れることさえできれば、不公平は、相手のアドバンテージではなく、あなた自身のアドバンテージになるのです。

最後に、もうひとつだけ付け加えさしてください。

和顔施(わがんせ)、和語施(わごせ)、という言葉があります。

平和の和に、顔、それに布施の施と書いて和顔施。

顔の代わりに、日本語の語という字を書いて、和語施と言います。
和顔施、和語施。
和やかな顔の布施、和やかな言葉の布施、ということですね。

和やかな顔、和やかな言葉は、相手に対する、何よりの布施であるという意味です。

何も布施するものがなくても、和やかな表情と、優しい言葉は、いつでも差し上げることができます。

和やかな表情と、優しい言葉があれば、いつでもどこでも、人を幸せにすることができるのです。

和顔施、和語施は、お金をかけずにできる、最高の布施です。

どうですか?

皆さんもこれから、和顔施、和語施を、忘れずに実践していかれたら如何でしょう?

それでは最後に、もう一度繰り返します。

四摂法、人を慈しみで包み込む四つの態度とは、
一、相手に対して布施を行いなさい。
二、相手に対して、優しい言葉をかけなさい。
三、相手に対して、善なる心をもって、善なる行為を行いなさい。
四、心にある、自分と相手との境界線を、取り払いなさい。
この四つです。

この四つだけを実践していけば、あなたは、誰からも好かれ、尊敬され、人望も上がり、そして、仕事も、家庭も、修行も、全てにおいて、成功していくことができるでしょう。

それでは次回は、その二、相手に対して優しい言葉をかけなさい、ということについて、詳しくお話致しましょう。

(以上)
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